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遭難救助訓練実施報告 岩場での遭難救助訓練から搬送訓練
07年積雪期レスキュー講習会報告 雪崩発生時の救助方法
平成17年度山岳連盟合同訓練 2005年11月 消防学校フェスタ
平成14年度第1回遭難対策講習会 平成14年11月14日(日)遭難対策講習会
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07年積雪期レスキュー講習会報告
                    下関山岳会 木村正雄
 雪崩が発生した!! 仲間が、あるいは他のパーティーがその巻き添えを食った。
二次遭難の危険は予想されるか、簡単に仲間を死に追いやる事が、貴方に出来るか。
一刻も早く、又安全に、そして確実に救助せねばならない。 この度の講習会は、その救助方法の基本を教わった。
 安全に速く、確実に
この三角形は大きい程良い、安全を優先すると速さを欠き 死に導く危険は高まる、確実を優先すると、装備 道具等の荷物が増える 速さを優先すると、救助する側の危険は増す。
よって三角形の形は大きくとも、小さくとも、正三角形を 維持されなけばならないが、尚一層大きくする努力が必要だし、 大きくするには、経験と普段の山行で、もしこの場で誰かが、 病気、あるいは事故で動けなくなった場合、速やかに下界に降ろす事を 想定しての、シュミレーションを繰り返し、又繰り返す検討会を重ねる必要が有る。
 (三種の神器)
救助に最も必用なもの、埋まっている者の割り出し、深さは?掘り出す手段は?勝負は早いが良いに決まっているが、 遅くとも15分が生死の境目である。 探し出す道具は各自が身に付け、救助する側、される側、共に役立つ、ビーコン以外に現時点では無い。
ゾンデ棒は埋まっているおおよその場所がわかれば、ここだという、確定、深さを求める事になる。
その為には、ゾンデ棒を雪中に突き刺し深さを確認する。
堀だし スッコプ゚以外には無い。 スッコプ゚にしてもデブリで固められた雪は容易では無い。
以上、 ビーコン、ゾンデ棒、スッコプ、いずれがかけても救い出す手段は無い。
装備に金額が増し、重量も嵩むが、人の命の重みに比較すれば軽いものである。
講習会の最中、ビーコンの取り扱い方法を教わっている時、いきなり反応が表れた。?
壊れたのかなと思われたが、そうではなく、一人の登山者が会場の側を通過したのであった。
一人が装着していても死体の堀だしの為には役立つだろうが、即救助の為には、仲間がいないのでは意味が無い。
その人の考えがあっての事だろうということになったが、登山計画を立てる時、雪崩の心配が少しでも考えられる場合 必ず全員が三種の神器を身に付ける必要が有るし、何よりも時間内に発見し、救助する事が出来るか、 宝の持ち腐れにならない様、常日頃の訓練が最も大切になってくる。
 今回の講習は、冬山レスキュー資料を元に講習日程の項目に従ってとり行われた。
 第1日 2雪上での支点
 (1)スノーピケットの種類と打ち方
大きさ 横 1メートル 縦 0.6メートルを基準とし踏み固める。
大き過ぎは、安全性は増すが時間がかかる。
講師の町田さん、これほどガッチリした体格が 踏み固めても、30CM以下は、スノーバーが 簡単に入って行く。
支点を埋める為のプラトーの作成
 プラトーに対してのスノーバー打ち込み角度 スノーバーの打ち込み角度(17°)は分度器を使う必要は無い
プラトーの上に立ち、膝に握り拳を当て、足元(靴)ニ向け、 スノーバーを打ち込む。
プラトーの強度と深さ 踏み固められる深さは30cmくらい
いくら体重の重い人が踏み固めても30cm以上は固まらない。
30cm以下の雪を砕いてみると、30cm以下は 簡単に砕け落ちる。
よってそれ以上深く埋めても強度は出ない。
より以上の荷重が掛かれば、プラトー上部はそのまま 残り下部がスッポリ抜き出てしまう危険がある。
ロープの出る方向に溝を掘る事。 掘らないと抜ける方向に力が働く。

 


ピケットの種類
スノーバーはL字よりT字が強い
L字は荷重がかかり過ぎると曲がり、最後は折れる。
 (2)土嚢、柴の支点
土嚢袋の支点 雪の量は人間の頭くらいの大きさに詰める。
入れ過ぎると縛りしろが無くなる。
30cm以上深く埋めなければならない。
(プラトー下部よりスッポリ抜ける危険有り)
買物のポリ袋では強度が足りない
(細い柴を束ねての支点)
 (3)流動分散
 3点からの流動分散
支点 A B Cは Oとの距離が同一でなくてはならない。
支点が広い範囲の時はインラインフィギュアエイトノット、 狭い範囲の時はイコーリングフィギュアエイトノットが良い、 イコーリングの時は6倍の長さが目安である。
 (4) 立ち木 柴 からの支点の取り方
 柴から  なるべく多くの枝を束にし、カウヒッチで縛り、根に近い方に 割を入れ枝の先に向けハーフノット 『いわしを切る』 『ハーフノット』で数回結びつける。 枝の力で支えるのでなく木そのものの根の力で支えるものだから、 なるべく沢山の枝を集める必要がある。
 笹から 1uの笹を支点に取る時も、枝からと同様に カウヒッチで縛り割を入れハーフノットで結びつける。
 捜索行動
 (1)二次遭難の回避
  @雪崩に巻き込まれなかった者が集まり、まずは落ち着く事が必要である。
  Aリーダーを決める -経験豊かで指導力を有する者。
  B逃げ道の確保 -再び雪崩に巻き込まれない様にする為。
 (2)初動パトロール
役割分担  リーダーが決まれば、それぞれの役割を決める。
ビーコンによる捜索隊 雪崩の発生を常に見張る者 ゾンデ棒による埋没位置を確認する者 スコップにて掘出す作業をする者 掘出した人をツエルト等で梱包又は負傷者を保護する者 負傷者の搬送 (積雪期は尾根に向かって上げる事の方が多い)
 上記は作業内容の種類であるが、パーティーの人数が多い、少ないによっては、 全く異なって来る。
又巻き込まれる人数によっても全く変わる。
ツエルトやシートを使っての梱包
銀シート、マットなどで地熱を遮断 手は軽くテーピングテープ等で止める
膝を浮かす事によって負傷者は安心する
顔は保温材で覆う事により吐き出した息により温度を上げることができる。
 流動分散を考慮する
 翌日の講習では、雪崩に巻き込まれたパーティーの1人が救助を求めてやってきた。 そこで救助に向かう想定であるが、先ずそれぞれの役割分担を決め、 二次遭難の回避、ビーコンによる捜索より搬送迄、一連の流れに従って救助訓練を行いました。
3班の編制で見ず知らずの集まりからリーダーを決めろと言われても中々決まらず、 私達の班は出遅れてしまいましたが、捜索、掘り出し、早期保温、梱包と中々手際良くやれた様に思います。
梱包では普段ロープを結び付けない私は思い通リにいかない面も有りました。
 ポンポンテスト 雪崩の起こりうる層がどこにあるのか確認するテスト。
以前はハンドテストで弱層を見つけ出す方法もあったが、体力に個人差が大きいので現在ではやらない。
今は シャベルで3面を切だし、シャベルを上部に置き、その上からたたく、 シャベルポンポンとかシャベルハンドテストである。
しかし講習で教わったのは、ポンポンテストと言って、 3面をなるべく深く切り出すまでは同じですが、叩くのは、手で雪を叩きます。
最初は手首だけを使い、大丈夫なら肘から先の力を利用し叩く,最後は肩から 先全体に力をかけて叩く。
手首だけで崩れる様であれば、極めて危険である。
肘からの叩き崩れならば、十分注意せねばならない。
肩からの叩き崩れならば、注意せねばならない。
肩からの叩き崩れならば、注意する必要がアル 肩からの叩きで大丈夫であれば、ほぼ安全である
雪崩を誘発する場所に立ち入らなければ、災難に遭うことはないが、ルート上通過せねばならない時は、 ザイルで結び合って慎重に行動する。
 引き上げ作業
講習の会場に向かっています
雪と斜面があれば何処でも 適していますが、今年は 例年に無い雪不足で元谷手前で 60-70CM位いの雪しか無く 指導者もこれほどの雪での 講習は初めてのことだ! とのことでした。
支点となる為の柴を束ね
カウヒッチ、ハーフノットにて プラトーの中に埋める。
プローブによる捜索 ビーコンによる絞り込みの後 2点ゾンデ(16ページ)で40CM 間隔に差込み最後の特定をする。
ゾンデーレン
ゾンデ棒の捜索で手に伝わる 感触を確かめる。
(埋まってもらう前の様子)
人間であれば軽く押せば 跳ね帰ろうとする反発があるが 土の場合はそれが無い。
引き上げの様子 プラトーに支点を設け 引き上げている。
立ち木を利用しての引き上げ
人数が多ければ直引きが早いが 滑車を2個使用しての1/3システム だと、楽に引き上げられる。
雪面を下ろす時は立木の 制動を利用し、一気に滑り降ろす。
 地元消防本部の挨拶
地元消防本部の挨拶


遭難が発生すると消防本部よりヘリコプターにて 現地に向かわれます。
いくら手を振っても私達からはわかりません!
樹林帯で葉の茂る時期は全くわかりません!
手を振っても登山者なのか遭難者なのか わかりません!
どうすれば良いの?
自然界に無い色で目立つ物を、前後に大きく 振って下さい。
(テントマット等がわかりやすい)
鏡の場合、ヘリに向けて太陽光を反射している のだろうが、わずかな角度で殆ど確認出来 ません。
その場合、目のすぐ側に鏡を付け、目先からヘリに向け、指を出し、指先を照らす様にして下さい。
携帯電話が使えれば、遭難者からヘリがどの位置に見えるか連絡を取ながらの救助が一番速く救い出せるそうです。
今回の講習の反省
 救助なる講習は初めての事で、2日間の限られた期間中で、幅広い教養を詰め込まれても、基本が出来てない者が その場はわかったつもりであったのが、時間が過ぎるに従い、徐徐に薄れてゆく様であるし、 体を使って教わった事を文書として報告することは、その説明が文字を通し伝わるのか、疑問でも有ります。
しかし、はっきり言えることは、命を守る為には、何らかの犠牲を払っても達成しておかなくては、 もしもの事が遭ったとき、取り返しがきかない問題として残るものであります。
 三種の神器なるものが、お金に換算しどれほどのものなのか、重量にしてどれほどのものなのか、 命の重さに比較する事に意義があるのか・・・・・・等考える時 命は大事にしなければならない、よって雪崩の危険が少しでもあれば、当然携行する必要あるし、 それなりの体力を高め、使用する技術は習得すべきである。
 この度のレスキュー講習会など、参加人数も回も増し多くの人が受講し、個人が飛び抜けた知識、技術を身につけるので 無く、チーム全体がレベルアップする事が必要だと思います。
そうする事により、毎回の山行に無事事故も無く 楽しかったねと喜ぶ、安全の余裕と言うか、幅が広がるのではないかなと思いました。
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