へのリンク
専門委員会
トップ 加盟団体 年間行事計画 専門委員会 指導 専門委員会 避難対策 専門委員会 国体・クライミング 専門委員会  海外登山 専門委員会 自然保護 リンク メール
へのリンク
山口県山岳連盟 安全登山研修会報告
開催日時 平成22年6月27日
場 所 山口県セミナーパーク大研修室
参加者 会員86名   講師6名  (計92名)
山口県山岳連盟 安全登山研修会報告
 安全登山に関し、例年「遭難救助訓練」を岳連内の「遭難対策委員会」を中心に少数の委員で実施してきた。
 安全登山に対し、組織の一部が意識し動くのではなく、組織全体で取り組みその意識レベルを上げる必要がある。
 今回、初めての試みで県岳連内全体の広い範囲で呼びかけ92名の参加者があり、本行事を実施する事ができた。
 新人からベテランまで或いは種々の登山スタイルで山行する方々が集まり、安全登山に関する知識と技術の向上の一助になれば、幸いである。

  「安全登山研修」や「遭対訓練」は企業或いは地方自治体等の組織が年に1、2回実施する「防災訓練」と同じで我々「山岳」の組織全員が協力して、このような研修会を定期的に行い、組織から事故を出さない意識が必要である。
 研修内容
 1.日本の山岳事故の特徴
 細川 「日本の山岳事故の特徴」を理解し、登山計画に安全対策を織り込むことにより事故を未然に防止し、或いは致命的な事故に至らないのではないかと思う。
 毎年6月頃に、警察庁が前年度に報告された山岳事故の統計分析を行っている。これに基づき資料を作成した。
 これは全国規模であるが、その事故の傾向は県内或いは近県の山域でも同じように適用できるといえる。
 その特徴は、@登山者の占める割合は中高年が80% A事故の態様は道迷いが36%、次いで滑落、転倒、転落(道迷いが間接原因となる)病気(中高年者の生活習慣病を山中で発病)
 これらの原因は事前に予防処置がある程度可能である。
 事故後の「セルフレスキューに関する知識」も組織内で普及が必要である。
 それぞれが持てる技術で何処まで対応できるか日頃から訓練することは大切である。
 2.「トムラウシ山岳遭難事故に学ぶ」     坂口遭対委員長
 昨年の7月に山岳ツアー会社が催行した北海道「トムラウシ山域」での遭難事故の実態を検証することによりなぜこのような事故が起こったか、我々なりに解析した。
 事故死亡者の死亡原因はほとんどが「低体温症」によるものである。
 当時の悪天候で、この時期でも北海道のように緯度が高い地の利で2,000m級の山岳では非常に厳しい気象条件になる。
 また山岳ツアーの場合、客は金を出して行くため、あなた任せの山行になりがちである。
 さらに主催側は次々と計画を消化しなければ次の企画に支障をきたすことになり、無理な行動になるのではないかと考えられる。
 本山岳事故の詳細報告書は「トムラウシ山遭難事故調査報告書」として公開されているので参照ください。
 日本山岳ガイド協会が以下にPDFファイルでまとめている。
  http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf
 3.「山でかかりやすい病気/予防と初期対応」     村上講師
 医療の専門家でありまた登山に関する技術と知識に造詣の深い講師の話で、質問が続出、山の中で下界と隔離された環境での自分たちで出来る救急対応、処置は非常時に役立つ知識となる。
 今まで我々が間違って持っていた知識もあり、この点で再認識と改めが必要である。
 「自分たちで出来る救急対応、処置」これはセルフレスキューの初歩であるといえる。
 外傷、熱中症、高山病、低体温症、凍傷等の予防と対応に関する学習は登山者として興味あることであり、特にその予防策は安全登山の為にも、日頃から心がけることのできることが多くある。
 そのほかに、山で多い事故の一つに「外傷」いわゆる怪我がある。
 この時の初期対応に先ずすべきは「真水での洗浄」がある。
 この処置にすぐ対応できるように、ペットボトルに500cc程度の「真水」の携帯を励行すべきである。
 ボトルにホースのついた「ハイドレーションシステム」があれば、いざというときに洗浄が楽である。
 救急救命処置の「心肺蘇生法」については、会員に消防署の講習を受講する事を進める。
 本講習は消防署に申し込めば無料で受講が出来る。
 「山の救急医療ハンドブック」日本山岳会医療委員会・編は分かり易い資料として紹介する。
 4. 1.2.項の講演の後、「山岳レスキュー研修/一般レスリュー」の実技を研修室/屋内で行った。
 ロープワークを中心に @ロープを使った事故者の救出 Aロープを手がかりに登る Bフリクションノットを使う Cビレイする D懸垂下降する Eトラバースする Fツエルトビバーク Gケガへの対応 H背負い方
 以上の9項目を、ロープワークを中心に実技学習した。
 ロープワークについてはそれぞれの人の持てるロープワーク技術に応じて、段階的に指導する必要がある。
 初心者に多くの技術を一度に教えると、混乱してどの場面でどの技術を適用すれば良いのか判らなくなることもあるので、この点を注意して指導する必要がある。
 特に怖いのはロープワーク(結束方法等)或いは適用方法を間違える事である。
 いずれにしてもロープワークは日頃から使い慣れ徐々に熟達していく必要がある。クライミングを伴わない山行でも山で役に立つ技術であるので新人の段階から指導すべきである。
(写真、文責:細川)
安全登山研修会に参加して
 岳連の安全登山研修会は梅雨時の大雨にもかかわらず、集まった参加者は90人以上、安全登山への関心の高さに驚いた。
 日常、登山をするうえで、山でのリスクや起こりうる危険、アクシデントへの対処方法等、少なからず意識し理解しているつもりでいてもどこか漠然としたものだった。
 今回は確認の意味を含めて勉強できればと思い参加した。
 研修の内容で興味深かったのは、事故を統計的にみること、または実際の遭難事例を検証することで、事故を起こしてしまう傾向や、アクシデントの際の判断の分岐点などがはっきりしたことだ。
 漠然としていた自分の危機意識にもその目的や項目が整理されたように思う。
 何をすれば事故が未然に防げるのか、何を備えればアクシデントに対応ができるのか。
 このような知識や情報、技術は、組織や仲間で登山する場合、認識を共有できれば安心だと思う。
 健康や体調をお互い 観察したり、アクシデントが起こった際の対応もスムーズにできるのではないか。いくら持っても荷にならない共同装備として山へはしっかり携帯したい。
 大切なのは知りかつ実行することだと思う。
 「知っていたけどやってない」「あるけど持って来てない」では何にもならない。
 登山のリスクは 実際は山にあるのではなく、登山者自身の中にあるように思う。
 油断や過信、慣れ、思い込みや勘違い・・・。ついついやり過ごしてしまう些細なミスもあるはずだ。
 それが事故につながらないためにも、定期的にこうした研修への参加を自己チェックの機会にできればいいと思う。
 研修会の開催にさいして、公私共にお忙しい中、計画準備、資料作成等を担当いただいた岳連遭難対策委員の皆様や講師の先生には、深くお礼申し上げます。
 実技を含む充実した講義と資料に一日大変有意義でした。
 できれば今後も定期的な研修会の開催をお願いいたします。今後もご指導のほどよろしくお願いいたします。  以上
下関山岳会 水廣 真紀子
↑上へ戻る
山口県山岳連盟 専門委員会 指導 へ戻る
へのリンク
山口県山岳連盟
〒755-0011 山口県宇部市
Copyright 2006 The yamaguchi Alpine Club. All rights reserved