開催
年月日 |
平成29年7月15日(土) 9:00~16:00 (山岳連盟会員及び一般対象)
7月16日(日) 9:00~16:00 (高校登山部対象) |
研修場所 |
山口県セミナーパーク「研修室」及び施設周辺 |
講 師 |
山岳連盟遭難対策委員と山岳指導員を中心に構成したメンバー:14名。
(小林会長、西村顧問、坂口遭難対策委員長、江本遭難対策副委員長、
山根指導委員長、大岡指導委員、武永指導委員、池本指導委員、
加藤委員、村岡委員、西濱委員、守屋委員、泰委員、関原委員) |
参加者 |
7月15日(土) : (参加者総計:95名)
・山口県山岳連盟会員:67名
(山口山岳会、HC山歩、周南山岳会、宇部山岳会、下関山岳会)
・一般(未組織) 参加者:28名
7月16日(日) : (参加者総計:95名)
・高校登山部(生徒)及び顧問(教諭) |
研修内容 |
7月15日(土) 、 7月16日(日) 共に同じ講義内容で実施。
1.座学研修 (9:00~10:45)
① 開会の挨拶及び山の日について
9:00~9:10、小林会長
② 山のレスキュー(応急手当)
③ 一般登山におけるセルフレスキュー(実技)の事前説明
9:10~10:45、坂口
・中高年の登山に潜む危険・・・身体能力の低下に伴う危険
・低体温症・・・低温、風、ぬれ、疲れといった要素と保温管理
・熱中症・・・発生原因と予防
・高山病・・・発生原因(酸素の欠乏、低圧と寒さ)と対策
・外傷・・・傷の種類と処置
・咬傷・刺傷・・・蛇や蜂などの被害と対処法
・日焼け・・・紫外線による被害と対策
・テーピング・救急セット・・・テーピングの目的、救急セットの例について
・救命処置・・・心肺停止と意識障害
2.実技 10:50~16:00 (12:00~13:00昼休み)
・3グループに分かれて、以下の1~3単元を各80分間、参加者全員が順番に体験
(1)ケガへの対応・緊急露営の方法:坂口・西濱・守屋・泰・江本・池本
①ケガへの対応
・足首捻挫/手尺骨骨折/突き指時等の三角巾、サムスプリント、
テーピング、応急ギブス君の活用方法。
ポイズンリムーバーの使用方法等。
・買い物袋やテントポール/ストック等の活用方法。
②背負い搬送方法
・ザックやテープスリング(120&60cm)による背負い搬送方法。
③簡易ハーネスの作成及び活用方法
・シートベント、ダブルフィッシャーマンズノット等の作り方
(2)ビバークの方法: 武永・西村・関原
①シュラフカバー/レスキューシート/ブルーシート+折り畳み傘等
②ツエルトの設営及び各種活用方法
③ビバーク時の体温保持方法
④ レスキューシートの活用方法
⑤ エアーレスキュー時のヘリ誘導方法実演
(3)ロープを使った安全確保: 山根・大岡・村岡・加藤
①ロープワーク
・シートベント、ムンターヒッチ、クローブヒッチ、オートブロック、
ブリッチプルージック、エイトノット等のつくりかた
②簡易ハーネス(チェスト・フルボディー)作成方法と活用方法
③支点構築方法(フィギアエイトノット・クローブヒッチ)
④ロープと簡易ハーネスを利用しての安全確保方法
・トラバース/フリクションノット利用による登高/ムンターヒッチ
による登高/ムンターヒッチによる懸垂下降方法 |
おわりに |
「安全登山講習」は、山口県山岳連盟会員を対象に毎年実施してきましたが、数年前から一般の登山者にも講座を開放するとともに、本格的な夏山シーズン前に開催するようにしています。この講習会では、登山のレベルや経験年数に関わらず登山行為は常に危険が伴うことを念頭に、遭難しないための登山技術と、登山中に発生するアクシデントにも適切な対処ができるように基礎的な登山技術やレスキュー技術について考え、身に着けていただくことを目的にしています。
今回から、高校生を対象にした講習も実施しました。今年3月に栃木県那須町スキー場で高校登山関係者の雪崩遭難が起こったことから、県内の高校登山部でも登山の安全について考える場を設けることになり、実施に至った次第です。
講習内容の中には、高校生の日頃の登山では接することのない技術や道具の説明もあり、自分たちの登山に役に立つのか疑問に感じながら受講された方もいたように感じましたが、若いので呑み込みが早く確実に理解されていることも実感できました。
登山行為には登山の難易度や経験年数に関係なく遭難のリスクが伴いますので、的確に対処できるように日頃から備えることは大切です。また遭難時のレスキュー技術は習得しても使わずに済むように安全な登山を実践することが大切です。そのためにはリスクを最小化した登山が実践できるよう日頃からトレーニングや学習を積み重ね、自らの登山技術や意識を高めることが必要です。
講義内容の中には日頃の登山の実態に合わないものもあったかったかもしれませんが、これを一つのきっかけとして、個々の登山者が安全な登山について考え遭難しないための登山技術を学習するきっかけになることを願っています。 |
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