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山口県岳連26年度事業「クライミングレスキュー研修会」報告
報告者 : 細川  功  
 開催要項  クライミング時の不慮の事故に対する救助技術研修会を開催したのでここに報告する。
 本研修はクライマーとして最低限身につけておくべき緊急時対応技術の習得を主目的とした。
1.日  時 平成26年11月15日(土) 9:30~15:00
2.受  付 陶ヶ岳肩の広場 受付開始9:00
3.研修場所 陶ヶ岳国体ルート上部岩壁付近・岩屋観音付近石垣
4.参加費用 無料
5. 講  師 山岳連盟遭難対策委員(坂口・江本・山根・細川)
  参加者 宇部山岳会;4名、山口山岳会;1名、周南山岳会;4名、HC山歩;1名、
下関山岳会;1名、その他;1名、計12名(含む講師)
6.研修内容 研修項目:クイライミングレスキュー技術
 (1) 制動確保の考え方と体験(肩がらみ・器具)
 (2) 墜落者の確保と自己脱出
 (3) 岩場での負傷者収容と搬出
 (4) 滑車(プロトラクション)を使った吊上げシステム
   7.実施内容
(1) 登攀者墜落時のクライミングロープに掛かる衝撃の体験

 日頃のクライミングでは、器具を使用して確保を行っていることから、ロープ或いはロープの支点に掛かる衝撃エネルギーを掴み取ることは困難である。
 これを体験するため、肩がらみ及び器具を使って登攀者墜落時のそれぞれの衝撃を体験した。参加者のほとんどが実際の登攀では肩がらみ確保を行うことはなく、本体験で墜落時の衝撃の大きさを体験し、制動確保を含めた確保技術の重要性を認識した。
(2) 登攀中の墜落者収容技術(ムンターヒッチ+ミュールノット)

 登攀中に登攀者が墜落負傷した場合に必要となる「仮固定-確保者の脱出-負傷者収容」方法を研修した。
 トラックタイヤ(約60kg)を墜落者に見立て、オーバーハング壁直下約5mの高さにつり上げ「仮固定-脱出-収容」の一連のレスキュー作業を講師がデモを行い、その後に参加者全員が同レスキュー作業を研修した。その後、一連の作業について内容の質疑・問題点を抽出し、検討した。
 クライミングレスキューでは日頃のクライミングとは異なる器具、用語の使用、あるいは器具を使用しない技術があり、これらの技術は定期的に山岳連盟或いは加盟団体にて開催し、しっかり取得することが大切である。
(3) 負傷者の収容技術

  ①.負傷者が自分で歩ける場合の収容方法
  ②.負傷者が自力で歩けない場合の振り分け担ぎによる収容方法 
 ③.負傷者の伸張吊り下げ収容方法を研修。

 デイジーチェン、下降器(8環)あるいはムンターヒッチを利用し、負傷者を背負った下降時の制動力を上げるため、カラビナを使ってロープの折り返し数(ワンターン・ツーターン)を増加した収容技術を研修した。
 負傷者の収容には多くの器具使用と応用方法があるので、機会ある毎に研修を行い取得しておく必要がある。
(4) 登攀時の墜落者収容のための「滑車による収容技術」

 墜落者の収容には通常、墜落地点より「下の安全地帯に下ろす」これが原則である。
 しかし、場所によっては「吊り上げ」による方法を取らざるを得ない場合がある。「吊り上げ」には大きな力が必要で、この時に滑車を利用した技術が大きな力を発揮する。
 今回は「滑車吊り上げ」システムの構築にプロトラクション(ペツル社製)を使用し1/2~1/4システムまでを作製し、各システムの力加減を体験した。また、滑車がない場合のカラビナを代用したシステムの力加減も体験した。
   8.まとめ
(1) この研修では、日頃の登山やクライミングで使用している技術、用語、器具を応用したレスキュー技術を紹介している。団体毎に機会を捉え、全ての会員に周知できるよう努力して欲しい。
(2) 特に、今回の研修の中で使用した「ムンターヒッチ」は日頃の登山活動でも使える技術で有り、応用編を含め、しっかり学んで有効に活用して欲しい。
(3) クライミングレスキューの現場では多くの人と機材が持ち込まれ共同で作業が行われるため、次のことを心がけて実施して欲しい。

 ①セーフティー:二次災害を起こさないよう、細心の注意を払い安全を確保する。
 ②スピーディー:的確に素早く、その為に日頃の器具の取り扱いやシステム構築の技術取得が重要
 ③シンプル:現場で構築するシステムは間違いを避けるため、できる限りシンプルが良い。
配布資料:

 クライミングレスキュー研修会資料(クライミングロープの結束方法、負傷者の収容方法等)
肩がらみでの制動確保体験①
肩がらみでの制動確保体験②
滑落者の確保と自己脱出(ロープ操作)
滑落者の確保と自己脱出
岩場での負傷者搬出方法①
岩場での負傷者搬出方法②
負傷者の収容と搬出方法①
負傷者の収容と搬出方法②
岩場での負傷者搬出方法
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